子ども用の防災リュック|年齢ごとの中身と重さの目安、一緒に選ぶコツ

家族の持ち出し袋は用意した。でも、ふと思います。 「これ、子どもの分も入ってる?」「子どもにも自分のリュックを持たせたほうがいい?」
大人ひとりで、家族全員分の荷物を持って、子どもの手を引いて逃げる——それは思っている以上に大変です。 子どもには、子どもの分のリュックを用意してください。
この記事では、国のチェックリストや東京都、徳島県、市区の資料をもとに、
- 子ども用リュックを用意する理由
- 年齢ごとの考え方と、重さの決め方
- 中に入れるもの
- 子どもと一緒に選ぶコツと、学校・保育園の分
- 見直しのタイミング
を順番にまとめました。
POINTポイント
子ども用の防災リュックは「軽く・少なく・その子に合わせて」。重いものは大人が持ち、子どもには自分で背負える分だけを入れます。
この記事の目次
1. なぜ、子ども用のリュックが必要なの?
「一人ひとつ」が基本
徳島県立防災センターの資料では、非常持ち出し品は「一人ひとつ」用意するよう勧めています。 東京都の「東京防災」でも、持ち出し袋の中身はそれぞれ自分にとって必要なものを考えて準備することが大切だとしています。 防災庁が2026年11月2日に出した「緊急要請」も、すぐに必要になるものをリュックなどに入れ、玄関など持ち出しやすい場所に置いておくよう呼びかけています。
子どもに必要なものは、大人とはちがいます。着がえのサイズ、食べられるもの、気持ちを落ち着かせるもの。大人の袋に全部入れると、重くなりすぎてしまいます。
子どもの「安心」を持ち出すため
台東区の子ども用の避難バッグリストには、「おもちゃ」が入っています。使い慣れたおもちゃがあると、心のケアにもなるという理由です。 避難先は、知らない人が多く、いつもとちがう場所です。子どもにとって「自分のもの」が入ったリュックは、それだけで安心につながります。
大人用の持ち出し袋の中身は「非常用持ち出し袋の中身リスト」でまとめています。この記事では、子どもの分に絞って書きます。
2. 年齢ごとの考え方と、重さの決め方
子ども用リュックは、年齢によって「誰が持つか」が変わります。
| 年齢 | 誰が持つ | 考え方 |
|---|---|---|
| 赤ちゃん(0〜1歳ごろ) | 大人が持つ | いつものお出かけバッグ+αで備える。抱っこひもは常に持ち歩く |
| 幼児(2〜5歳ごろ) | 大人が中心。子どもは軽い小さなリュック | 重いものは大人の袋へ。子どもの袋には軽いものと「お気に入り」を |
| 小学生 | 自分で背負う | 自分で走って逃げられる重さに。中身は大人とほぼ同じでよい |
赤ちゃん:大人が持つ。「いつものバッグ+α」で
東京都の「東京くらし防災」では、赤ちゃんのお出かけに必要なものが詰まったいつものバッグは、もしものときにも大活躍するとし、そこに必要なものを足して備えるよう勧めています。抱っこひもは、車やベビーカーで出かけるときでも常に持ち歩くようにとも書かれています。
赤ちゃんは自分で荷物を持てません。抱っこしたまま、大人が全部を持つことになります。 大洲市(愛媛県)のページでは、子どもを抱っこした状態で、一緒に持てる重さかどうか一度確かめるよう勧めています。
ミルクやおむつなど、赤ちゃんの備えの中身は「子どもと一緒にする防災」で紹介しています。
幼児:大人の袋が中心。子どもには「自分の分」を少しだけ
大洲市は、2〜5歳の子どもの防災グッズとして、次のようなものを挙げています。
- 子どもが食べられる非常食、おやつ、水
- 着がえ(特に下着)、おむつ・おしりふき
- 歯ブラシ(または歯みがきシート)、子ども用マスク
- 子どもが落ち着くもの(おもちゃ、絵本、お絵かきセット、ぬいぐるみなど)
- 子ども用ヘルメット、笛(ホイッスル)
この年齢の子が長い距離を背負って歩くのは大変です。重い水や着がえは大人の袋に入れ、子どものリュックには、おやつやお気に入りのおもちゃなど軽いものだけを入れましょう。
小学生:自分で背負う。重さは「走って逃げられるか」
大洲市のページでは、小学生以降は基本的に大人と同じ防災グッズでよいとしています。そのうえで、子どもが安心できるよう、おもちゃやおやつも用意するよう勧めています。
重さについては、徳島県立防災センターの資料に、次の目安が載っています。
| 重さの目安(徳島県立防災センター) | |
|---|---|
| 大人の男性 | 10〜15kg |
| 大人の女性 | 5〜10kg |
| 小学生 | 3〜5kg |
ただし同じ資料で、体の大きさや体力に合わせて、すぐに持って走って逃げられる重さにすることが前提だと書かれています。小学1年生と6年生では、持てる重さはちがいます。数字はあくまで目安です。
CAUTIONここに注意
この記事を書くにあたって調べた範囲では、未就学の子どもの重さの目安を数字で示した公的資料は見つかりませんでした。幼児は、数字ではなく「実際に背負わせて、歩けるか」で決めてください。
重さは「実際に背負って」決める
東京都の「東京くらし防災」でも、持ち出し袋は実際に持ち歩ける重さで、バッグに収まる量に調整するよう勧めています。
中身を入れたら、子どもに背負ってもらい、次の順番で試してください。
- 家の中で背負って、部屋から玄関まで歩く
- 靴をはいて、家のまわりを少し歩く
- 避難場所まで、一緒に歩いてみる
途中で「重い」「肩が痛い」と言ったら、中身を減らすか、大人の袋に移します。
3. 子ども用リュックに入れるもの
国の「災害の『備え』チェックリスト」(監修:内閣府)や、東京都・自治体の資料に出てくるものから、子どものリュックに入れやすいものを選びました。
| もの | 理由・ポイント | 出どころ |
|---|---|---|
| 連絡先のメモ(カード) | はぐれたときに、家族と連絡をとるため | 東京くらし防災、徳島県、堺市 |
| 小銭 | 公衆電話を使うため | 東京くらし防災、徳島県 |
| ホイッスル(笛) | 音で居場所を知らせ、助けを求める | 大洲市、堺市、東京防災 |
| ライト | 夜の避難や停電に。首にかけられる「ネックライト」も | 国のチェックリスト、堺市 |
| 飲みもの | 背負える量だけ | 大洲市、堺市 |
| おやつ | ふだん食べ慣れているもの | 大洲市、堺市 |
| 着がえ(下着・靴下) | 下着は特に大切 | 大洲市、堺市 |
| タオル・ティッシュ・ウェットティッシュ | 体をふく、汚れをふく | 堺市 |
| 子ども用マスク | 避難先での感染症の対策に | 大洲市、堺市 |
| レインコート | 雨の中の避難や、寒さ対策に | 堺市 |
| 安心できるもの | おもちゃ、絵本、ぬいぐるみ、お絵かきセットなど | 大洲市、台東区、堺市 |
| 薬(必要な子) | 持病やアレルギーがある子は必ず | 堺市 |
| 家族の写真 | 「東京防災」は、万一のために持ち歩くのもよいとしています | 東京防災、徳島県 |
連絡先のメモは「外から見えない」工夫を
東京都の「東京くらし防災」では、子どもには保護者の電話番号を覚えさせておくこと、そして小銭と、電話番号を書いたメモを持たせておくことを勧めています。 徳島県立防災センターの資料では、家族の連絡先を書いたカードに、食品アレルギーなども書いておくよう挙げています。
堺市北区の防災ブックでは「パーソナルカード」の作り方が紹介されています。
- 表:ニックネーム、避難場所、はぐれたときの集合場所
- 中:連絡先、アレルギーや持病など
- 紙を半分に折って貼り合わせ、いざというときにハサミで切り開いて読む
名前や電話番号が、だれにでも見える状態にならない作り方です。まねしてみてください。
ホイッスルは「吹けるか」を確かめる
堺市北区の防災ブックでは、ホイッスルは小さな力で楽に吹けるものがあると紹介しています。 東京都の「東京くらし防災」でも、周りに助けを求める場面を想定して、子どもと笛が吹けるか試してみるよう勧めています。
WITH KIDS子どもと一緒に
買ったホイッスルを渡して「思いきり吹いてみて」と言ってみましょう。音が出なければ、別の種類にかえます。吹けたら「助けてほしいときに吹くんだよ」と、使う場面も一緒に伝えてください。
おやつは、アレルギーに気をつける
東京都の「東京くらし防災」では、避難所で子どもにお菓子をあげるときは、アレルギーがないか確認をと呼びかけています。 アレルギーのある子は、食べられるおやつを自分のリュックに入れておきましょう。堺市北区の防災ブックでも、アレルギーのある子や通院中の子は、薬やいつものおやつがあったほうがよいとしています。
4. 子どもと一緒に選ぶ。学校・保育園の分も考える
中身は、子どもと一緒に決める
堺市北区の防災ブックは、子どものバッグを「子どもと一緒に話し合いながら準備しましょう」と呼びかけています。 「タオルがあると落ち着く」「お絵かきが好き」「大好きなおやつがある」——子どもに合わせた中身を考えてあげてほしいと書かれています。
親が全部決めて詰めるより、子どもと一緒に選ぶほうが、
- 中身を子ども自身が知っている
- 「自分のリュック」として大事にする
- 防災の話が、自然にできる
という良さがあります。
WITH KIDS子どもと一緒に
「もし夜に停電したら、何があるといい?」「おうちに帰れなかったら、何がほしい?」と聞きながら、一つずつ入れていきましょう。リュックそのものも、子どもが気に入ったものを選ぶと、背負うのをいやがりません。
リュックは、両手が使えるリュック型を選んでください。徳島県立防災センターの資料では、肩ひもが太いほど楽だとしています。
ふだんのかばんにも「少しだけ」
災害は、家にいるときに起きるとは限りません。 「東京防災」では、外出中の被災にそなえて、ふだん持ち歩くかばんに最低限必要なものを入れておくよう勧めています。堺市北区の防災ブックでも、いつも持ち歩いているバッグにパーソナルカードを入れておくとより安心だとしています。
ランドセルや通園バッグには、連絡先のカード、ホイッスルなど、軽くて小さいものを入れておきましょう。
学校・保育園との取り決めを確認する
「東京防災」では、子どもを保育園などに預けている場合、災害のときの連絡や引き渡しの方法を、施設と話し合っておくよう勧めています。 そのときに、「子どもの着がえや防災用品を、園や学校に置いておけるか」も聞いておきましょう。置ける物や決まりは、園や学校によってちがいます。
学校での引き取りのルールについては「子どもと一緒にする防災」でもまとめています。
5. 子どものリュックは「こまめに」見直す
徳島県立防災センターの資料では、持ち出し品を年に2回、春と秋にチェックし、季節で変わる衣類を入れかえるよう勧めています。食べものの賞味期限や、電池の使用期限も確かめます。
子どものリュックは、大人のリュックより変わることが多いものです。次の点も確かめてください。
| 見直すこと | ポイント |
|---|---|
| 服・靴下・おむつのサイズ | 成長して、着られなくなっていないか |
| おやつ | 今も好きか、期限が切れていないか |
| おもちゃ・絵本 | 今の年齢に合っているか、今もお気に入りか |
| 連絡先カード | 電話番号、学校名、集合場所が変わっていないか |
| 重さ | 今の体で背負えるか(大きくなったら、少し増やしてもよい) |
| ライトの電池 | 点くか |
POINTポイント
春と秋の見直しは、新学期や衣がえなど「家族の行事」と同じ日にすると、忘れにくくなります。
今日・今週・今月にできること
| いつ | やること |
|---|---|
| 今日 | 家にある子どものリュックを一つ出す/家族の電話番号を書いたメモを、子どものかばんに入れる |
| 今週 | 子どもと一緒に中身を選んで詰める/ホイッスルを吹けるか試す |
| 今月 | 子どもに背負ってもらい、避難場所まで歩いて重さを確かめる/園や学校に、置いておける物を聞く |
よくある質問
Q何歳から、自分でリュックを背負わせればいいですか?
年齢よりも、その子が背負って歩けるかどうかで決めてください。徳島県立防災センターの資料でも、体の大きさや体力に合わせた重さにするよう書かれています。小さい子は、軽いおやつやお気に入りのおもちゃだけを入れた小さなリュックから始めましょう。
Qリュックに入れたおやつを、子どもが食べてしまいます。
食べたら、その分を買い足せば大丈夫です。ふだん食べ慣れたおやつを入れておくと、いざというときも安心して食べられます。期限切れも防げます。
Q子ども用の防災セットを買ったほうがいいですか?
家にあるもので作れます。まずは使っていないリュックに、この記事の表にあるものを家から集めて入れてみてください。足りないものだけを買い足せば、むだがありません。
まとめ:今日、子どものリュックを一つ出してみよう
- 子どもにも、子どもの分のリュックを用意する(「一人ひとつ」)
- 赤ちゃんは大人が持つ。幼児は大人が中心、子どもには軽いものだけ。小学生は自分で背負う
- 小学生の重さの目安は3〜5kg(徳島県立防災センター)。ただし走って逃げられるかを実際に試して決める
- 連絡先カード、ホイッスル、ライト、おやつ、着がえ、安心できるものを入れる
- 中身は子どもと一緒に選び、春と秋に見直す
今日、子どものリュックを一つ出して、家族の電話番号を書いたメモと、お気に入りのおもちゃを一つ入れてください。 それが、子ども用の防災リュックの始まりです。
家族全体の備えは「防災は何から始める?」で、順番にまとめています。そろったものは防災チェックリストで確認できます。
出典:
