防災は何から始める? 目についたところから始める「そなえ」の順番【今日・今週・今月】

「防災が大事なのはわかっている。でも、何から始めればいいのかわからない」
防災庁の発足で「備えを」と言われても、やることが多すぎて、手が止まってしまう。その気持ちはわかります。 でも、何もしないまま災害の日を迎えることだけは、避けてください。
この記事では、今日・今週・今月・その先の4つの段階に分けて、できることを順番にまとめました。 全部を一度にやる必要はありません。まずは、目についたところから一つ。それだけで、昨日より確実に備えが進みます。
POINTポイント
完璧を目指す必要はありません。大事なのは「今日、一つやる」こと。それだけです。
この記事の目次
なぜ「目についたところから」でいいの?
防災を始めようとして、多くの人がつまずくのは「全部そろえなきゃ」と考えてしまうことです。 リストを見ただけで疲れてしまい、結局なにもしないまま——これがいちばんもったいない状態です。
国の緊急要請でも、ふだん使っているものを少し多めに買って、使ったら買い足すという、日常の延長でできる方法が勧められています。 特別なことをしなくても、いつもの暮らしの中で、備えは少しずつ進められます。
今日できること(5分〜15分)
まずは、いま座っている場所から、部屋を見回してください。 お金も道具もいらない、見るだけ・置くだけのことから始めます。
寝室を見回す
寝ている場所に、背の高い家具が倒れてこないかを確認しましょう。 首相官邸の防災の案内でも、寝室や子ども部屋には、できるだけ家具を置かないことが勧められています。
- ベッドや布団の近くに、背の高い棚やタンスはありませんか?
- 倒れたときに、部屋の出入り口をふさぎませんか?
すぐに家具を動かせなくても、「危ない場所がある」と気づくことが最初の一歩です。
枕元に3つ置く
同じ案内では、懐中電灯・スリッパ・ホイッスルを手の届くところに置いておくことが勧められています。 夜中に地震が起きると、停電で真っ暗な中、割れたガラスの上を歩くことになるかもしれません。
家にある懐中電灯とスリッパを、枕元に置く。今日はそれだけでも十分です。
家の中の「水」を数える
いま家にある飲み水を数えてみましょう。 目安は1人1日3リットル、最低3日分です。4人家族なら36リットル、2リットルのペットボトルで18本になります。
家族の人数を入れるだけで必要な量がわかる備蓄量の計算を使ってください。
自分にしか合わないものを確認する
メガネ、毎日飲んでいる薬、補聴器、入れ歯。 国の防災情報のページでは、こうしたふだんの生活に欠かせないものは、予備をしっかり用意するよう呼びかけています。
予備のメガネはありますか? 薬は何日分、手元にありますか? ペットがいる家庭は、フードや薬も同じです(→ペットの防災、何を準備する?)。 女性の方は、生理用品も「自分にしか合わないもの」の一つです(→女性の防災)。 自分や家族にしか合わないものは、災害のときに代わりを見つけるのがむずかしいものです。
今週できること(買い物ついでに)
今日の「気づき」をもとに、今週はいつもの買い物のついでにできることを進めます。
水と食べものを「1つ多め」に買う
いつもの買い物で、水や、ふだん食べているレトルト食品・缶詰を1つ多めに買いましょう。 食べたら、また1つ買い足す。これが、国の要請でも勧められている「使ったら補充する」備え方です。
POINTポイント
「非常食」として特別なものを買う必要はありません。家族がふだん食べ慣れているものが、いちばん頼れる備えです。
携帯トイレを用意する
断水すると、水洗トイレが使えなくなることがあります。 トイレは1人1日5回が目安とされていて、4人家族なら3日分で60回分になります。 水や食べものに比べて忘れられがちなので、今週の買い物リストに入れておきましょう。 種類や使い方は「携帯トイレは何回分いる? 量の目安と使い方」でくわしくまとめています。
家にあるもので「持ち出し袋」を作る
使っていないリュックに、家にあるものを入れてみましょう。
- 飲み水、すぐ食べられるもの
- 懐中電灯、モバイルバッテリー
- 常備薬、お薬手帳のコピー
- マスク、ウェットティッシュ、タオル
まずは家にあるもので作り、足りないものだけを買い足すのが、むだのない進め方です。 何を入れるかは、防災チェックリストで確認できます。 入れる順番は「非常用持ち出し袋の中身リスト」でくわしくまとめています。
WITH KIDS子どもと一緒に
子どもと一緒に「おうちのリュック」を作ると、楽しく防災の話ができます。子ども用には、好きなおやつや小さなおもちゃを入れてあげると安心につながります。
今月できること(家族で少し時間をとって)
家具を固定する
国の緊急要請では、「固定していない家具は必ず倒れると思って」と、強い言葉で家具の固定を呼びかけています。 まずは寝室の大きな家具から、L字金具や突っ張り棒などで固定しましょう。 効果が高い固定のしかたは「地震にそなえる」で紹介しています。
ハザードマップを見て、避難する道を歩いてみる
国土交通省のハザードマップポータルサイトや、お住まいの自治体のホームページで、自分の家のまわりにどんな危険があるかを確認します。 大雨・津波・土砂災害など、災害の種類によって、安全な避難場所は変わります。
地図で確認したら、休みの日に家族で避難場所まで歩いてみましょう。 実際に歩くと、地図ではわからない坂道や、狭い道に気づくことがあります。
家族の連絡方法を決める
災害のときは、携帯電話がつながりにくくなることがあります。
- 災害用伝言ダイヤル「171」の使い方を確認する
- 家族がばらばらのときの集合場所を決めておく
171は、毎月1日と15日などに、実際に試せる体験日があります。次の体験日に、家族で一度使ってみましょう。 子どもと決めておきたいことは「子どもと一緒にする防災」にまとめています。
昭和56年以前の家なら、耐震診断を考える
昭和56年(1981年)以前に建てられた家は、耐震診断を受けることが国から呼びかけられています。 費用が気になるときは、お住まいの自治体の窓口に相談してください。
その先:年に2回、見直す日を決める
備えは、一度そろえたら終わりではありません。 水や食べものの期限、子どもの成長に合わせた服のサイズ、薬の内容などは、時間とともに変わっていきます。
見直す日を決めておくと、忘れずに続けられます。たとえば、
- 9月1日「防災の日」
- 1月17日「防災とボランティアの日」
冬が近づいたら、寒さへの備えも見直しましょう(→冬の停電・大雪にそなえる)。
のように、覚えやすい日に決めてしまいましょう。
企業で災害対策をしている私が思うこと
私はふだん、企業で災害対策の仕事をしています。
防災は、立派な防災セットをそろえることではありません。 自分と家族の暮らしに合った備えを、続けることです。
公的な支えは欠かせません。けれど、メガネや毎日の薬のように、一人ひとりに合ったものまでは、国は届けられません。 それを知っている自分たちが、自分たちの分を用意する。それが、家族を守るいちばん確かな方法です。
備えは、誰かが代わりにやってくれるものではありません。今日やるか、やらないか。それだけです。
よくある質問
Q全部やる時間がありません。
全部やる必要はありません。今日できることの中から、一つだけ選んで、今日中にやってください。枕元に懐中電灯を置くだけでも、立派な備えです。
Q防災グッズは、セットで買ったほうがいいですか?
セットは一度にそろうのが便利です。ただ、家にあるもので代わりになるものも多いので、まずは家にあるもので持ち出し袋を作り、足りないものを買い足す方法もおすすめです。
Q一人暮らしでも、ここまで必要ですか?
必要な量は人数で変わりますが、やることの順番は同じです。一人暮らしの方こそ、災害のときに頼れる人が近くにいないこともあるので、自分の分はしっかり備えておきましょう。
Q何から買えばいいか迷います。
水と携帯トイレです。どちらも、災害のあとすぐに必要になり、ないと困るものです。量は備蓄量の計算で確認できます。
まとめ:今日、一つだけやってみよう
| いつ | やること |
|---|---|
| 今日 | 寝室を見回す/枕元に懐中電灯・スリッパ・ホイッスル/水を数える/メガネや薬の予備を確認 |
| 今週 | 水と食べものを1つ多めに買う/携帯トイレを用意/家にあるもので持ち出し袋 |
| 今月 | 家具の固定/ハザードマップと避難経路の確認/家族の連絡方法を決める |
| その先 | 年に2回、見直す日を決める |
防災は、一度にがんばるより、続けることのほうが大切です。
この記事を読み終えたら、部屋を一度、見回してください。 そして、目についたところから一つ、今日やる。その一歩が、いざという時に家族を守ります。
最初の一つに迷うなら、備蓄量の計算で、わが家に必要な水の量を確かめてください。
出典: