いま災害が起きている・起きそうなときは、気象庁の防災情報とお住まいの自治体の情報を確認してください
地震

南海トラフ地震臨時情報とは|「巨大地震注意」「巨大地震警戒」が出たら家族でやること

テレビに「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」と出たら、あなたはまず何をしますか。 仕事は休む? 子どもを学校に行かせない? 水を買いに走る? 2024年8月に初めてこの情報が出たとき、国の広報誌によると「どう対応すればいいのかわからない」という戸惑いや誤解も見られました。

答えは、情報が出る前に決めておくものです。 この記事では、気象庁・防災庁・地震調査研究推進本部(地震本部)の資料をもとに、

  1. 臨時情報とはどんな情報か
  2. 4つの種類と、出る条件
  3. 「巨大地震注意」「巨大地震警戒」が出たら、家族でやること
  4. 自分の住む地域が対象かの確かめ方

を、順番にまとめました。

POINTポイント

臨時情報は「地震の予知」ではありません。出ていなくても、南海トラフ地震は突然来ます。だから、日ごろの備えがいちばんの土台です。臨時情報が出たら、その備えを「再確認」して、いつでも逃げられる態勢をとります。

この記事の目次
  1. 1. 南海トラフ地震臨時情報とは?「予知」ではありません
  2. 2. 臨時情報は4種類。出る条件とタイミング
  3. 3. 「巨大地震注意」「巨大地震警戒」が出たら、家族でやること
  4. 4. 2024年8月、初めての「巨大地震注意」
  5. 5. 自分の住む地域は対象? 確かめ方
  6. 今日・今週・今月にできること
  7. よくある質問
  8. まとめ:臨時情報は「備えを確かめる合図」

1. 南海トラフ地震臨時情報とは?「予知」ではありません

気象庁の資料では、南海トラフは、静岡県の駿河湾から、紀伊半島の南の海や土佐湾をへて、九州の日向灘の沖まで続く、海の底の溝のような地形です。

南海トラフ地震臨時情報は、気象庁が出す情報です。 南海トラフ沿いで大きな地震などがあり、**巨大地震が起きる可能性が「ふだんより高まった」**と評価されたときに出ます。

いつ・どこで・どのくらいの地震かは、わからない

気象庁の「よくある質問」では、臨時情報は地震の規模や場所、起きる時刻を高い精度で予測(予知)する情報ではないと説明しています。 また、次の2つのことも書かれています。

  • 臨時情報が出ても、大きな地震が起きるとは限らない
  • 異常な現象が見られないまま、突然、南海トラフ地震が起きることもある

なぜ「可能性が高まった」と言えるのか。それは、大きな地震のあとに、続けてもっと大きな地震が起きた例が、過去にあるからです。 気象庁は、1854年の安政東海地震の32時間後に安政南海地震が起きたこと、1944年の昭和東南海地震の2年後に昭和南海地震が起きたことを挙げています。

「可能性が高まる」は、どのくらい?

防災庁の資料では、世界の地震の記録をもとに、1週間以内に大きな地震が起きる可能性を次のように示しています。

1週間以内に大規模地震が起きる可能性
ふだん 約0.1%(千回に1回くらい)
「巨大地震注意」が出たとき 約1%(百回に1回くらい)
「巨大地震警戒」が出たとき 約10%(十回に1回くらい)

数字だけ見ると、小さく感じるかもしれません。けれど、ふだんの10倍〜100倍です。 そして、起きたときの被害はとても大きいものです。「たぶん来ない」ではなく「来ても大丈夫」な状態をつくりましょう。

MEMOメモ

地震本部(地震調査研究推進本部)は、南海トラフで大きな地震が今後30年以内に起きる確率を、2つの計算方法で「60〜90%程度以上」と「20〜50%」としています(2025年1月1日を基準にした値)。どちらも、4段階でいちばん上の「高い」ランクです。地震本部は、防災のためには高い方の「60〜90%程度以上」を強調するのが望ましいとしています。

2. 臨時情報は4種類。出る条件とタイミング

臨時情報には、名前のうしろに4つのキーワードのどれかが付きます。気象庁の資料をもとにまとめました。

キーワード どんなときに出る? いつ出る?
調査中 南海トラフ沿いの決められた範囲でマグニチュード6.8以上の地震が起きたときや、地下の動きにいつもと違う変化があったときなど。専門家が集まって調べ始める 調べ始めたとき
巨大地震警戒 南海トラフ地震が起きると考えられている範囲(想定震源域)で、マグニチュード8.0以上の地震が起きたと評価されたとき 地震などのあと、最短で2時間くらい
巨大地震注意 マグニチュード7.0以上の地震が起きたと評価されたとき(警戒にあたる場合をのぞく)。または、プレートの境目でいつもと違う「ゆっくりすべり」が起きたと評価されたとき 地震などのあと、最短で2時間くらい
調査終了 「警戒」にも「注意」にもあたらないと評価されたとき 調べ終わったとき

まず「調査中」が出て、その後に「警戒」「注意」「調査終了」のどれかが出る、という流れです。

防災庁のページでは、臨時情報はテレビやラジオ、インターネットのほか、防災行政無線や広報車などで伝えられるとしています。

CAUTIONここに注意

強い揺れを感じたときや、津波警報などが出たときは、臨時情報を待たないでください。防災庁の資料でも、揺れを感じたり津波警報などが出たりしたら「直ちに避難」することが重要だとしています。臨時情報は、最初の地震のあと、次の地震にそなえるための情報です。

3. 「巨大地震注意」「巨大地震警戒」が出たら、家族でやること

防災庁の資料をもとに、それぞれのときにやることをまとめます。 どちらの場合も、仕事や学校などのふだんの生活は続けます。 そのうえで、いつでも逃げられる準備をしておく、というのが国の示す基本です。

「巨大地震注意」が出たら(1週間)

次の2つを行ったうえで、ふだんの生活を続けます。

すること 中身(防災庁の資料より)
日ごろの備えの再確認 避難場所・避難経路の確認/家族との連絡手段の確認/家具などの固定/非常食などの備蓄の確認 など
特別な備え すぐに逃げられる態勢を保つ/非常持出品をいつも持ち歩く など

期間は、最初の地震から1週間です。 (いつもと違う「ゆっくりすべり」で出た場合は、その変化がおさまってから、変化していたのと同じくらいの期間です。)

「非常持出品をいつも持ち歩く」は、防災庁の資料の絵では、現金や身分証明書(コピーでも可)などを身につけて出かける姿で描かれています。 何を入れておくかは「持ち出し袋の作り方」でまとめています。

「巨大地震警戒」が出たら(1週間+さらに1週間)

警戒のときは、住んでいる場所によって、やることが変わります。

住んでいる場所 最初の1週間 次の1週間
市町村が決めた「事前避難対象地域」(津波がすぐ来るなど、地震のあとに逃げたのでは間に合わないおそれがある地域) 市町村の指示に従い、1週間、事前に避難する 特別な備え+日ごろの備えの再確認
それ以外の、防災対応をとる地域 特別な備え+日ごろの備えの再確認 同じことを続ける

防災庁のページでは、事前避難は、浸水が想定されていない場所にある避難所や、知人の家などへ移るとしています。 また、事前避難対象地域の外でも、浸水が想定される区域に住んでいて、地震のあとに逃げたのでは間に合わないおそれのある人は、事前に避難するよう示しています。

WITH KIDS子どもと一緒に

防災庁のページでは、臨時情報が出ている間は「すぐに逃げられる服装で寝る」「携帯ラジオやスマートフォンの予備バッテリーの充電を確かめる」ことを呼びかけています。子どものパジャマの代わりに、動きやすい服を枕元に置いておきましょう。家族で決めておくことは「子どもと一緒にする防災」も読んでみてください。

「調査終了」が出たら

防災庁のページでは、「調査終了」のときは、地震に注意しながらふだんどおりの生活を送るとしています。 ただし、大きな地震が起きる可能性がなくなったわけではありません。 日ごろの備えは続けてください。

4. 2024年8月、初めての「巨大地震注意」

気象庁の発表によると、2024年8月8日の夕方、日向灘でマグニチュード7.1(速報値)の地震が起き、宮崎県日南市で震度6弱を観測しました。

時刻(8月8日) できごと
17時00分 臨時情報(調査中)
19時15分 臨時情報(巨大地震注意)

これが、臨時情報が初めて出た例です。気象庁の発表履歴でも、「巨大地震注意」が出たのはこの1回だけで、「巨大地震警戒」は一度も出ていません(2026年11月4日に確認)。 政府の「特別な注意の呼びかけ」は、1週間後の8月15日17時に終わりました。このとき気象庁は、終わったあとも「日頃からの地震への備え」は続けるよう呼びかけています。

なお、2025年1月13日にも「調査中」が出ましたが、同じ夜のうちに「調査終了」となっています(気象庁の発表履歴より)。

このときの戸惑いを受けて、国の手引きが見直されました

国の広報誌「ぼうさい」(第111号)では、2024年8月の発表のとき「どのように対応すればいいのかわからない」といった戸惑いや誤解も見られたとしています。

これを受けて国は、2025年8月に、自治体や会社向けの手引き(「南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドライン」)を改訂しました。改訂の概要では、

  • 臨時情報が出ても、次の大きな地震が起きるかどうかは不確かであること
  • 住民は「自らの命は自らが守る」という考えで、自分で判断して動くこと
  • 「臨時情報が発表された時の対応は、あらかじめ決めておく」ことがとても大切なこと

などが新しく書き加えられました。 いまの国の資料(防災庁のページ)では、注意のときも警戒のときも、備えをしたうえで「社会経済活動を継続してください」と書かれています。

情報が出てからあわてて考えるのではなく、今のうちに家族で決めておきましょう。

5. 自分の住む地域は対象? 確かめ方

「防災対応をとる地域」は、とても広い

臨時情報が出たときに防災対応をとる地域は、国が指定した「南海トラフ地震防災対策推進地域」です。 防災庁の市町村一覧では、2025年7月1日現在で1都2府27県の723市町村が指定されています。茨城県から沖縄県まで、太平洋側を中心に広く入っています。

指定のおもな目安は、防災庁の資料では次のとおりです。

  • 震度6弱以上になる地域
  • 津波の高さが3メートル以上で、海岸の堤防が低い地域
  • 防災体制の確保や、過去に被害を受けた歴史なども考える

確かめる手順

  1. 防災庁の「推進地域の市町村一覧(PDF)」で、自分の市町村が入っているか見る
  2. 「事前避難対象地域」に入っているかは、お住まいの市町村に問い合わせる(防災庁のページでも、そう案内しています)
  3. 市町村のハザードマップで、家が浸水する場所か、避難場所はどこかを見る

POINTポイント

職場や学校、実家が対象地域にあることもあります。家だけでなく、家族がふだん過ごす場所も一緒に確かめてください。

今日・今週・今月にできること

いつ やること
今日 推進地域の市町村一覧で、自分の市町村が入っているか確かめる/臨時情報の4つのキーワードを家族に伝える
今週 市町村のハザードマップで、家・職場・学校の浸水のおそれと避難場所を見る/事前避難対象地域かどうか市町村に確かめる
今月 「注意」「警戒」が出たら、誰が何をするかを家族で決めて紙に書く/持ち出し袋をつくり、家具を固定する

日ごろの備えの全体像は「防災は何から始める?」、家具の固定は「地震にそなえる」でまとめています。 備蓄の量は「備蓄量の計算ツール」、そろっているかは「防災チェックリスト」で確かめられます。

よくある質問

Q「巨大地震注意」が出たら、仕事や学校は休むべきですか?

防災庁の資料では、日ごろの備えの再確認と「特別な備え」(すぐに逃げられる態勢、非常持出品を持ち歩くなど)をしたうえで、社会経済活動を続けるよう示しています。休むかどうかではなく、「どこにいても、すぐ逃げられるか」を確かめてください。

Q臨時情報が出ていなければ、しばらく大きな地震は来ないのですか?

いいえ。気象庁は、異常な現象が見られないまま、突然、南海トラフ地震が起きることもあると説明しています。臨時情報を待たずに、今日から備えてください。

Q「巨大地震警戒」が出たら、誰でも避難所に行くのですか?

事前に避難するのは、市町村が決めた「事前避難対象地域」の住民などです。それ以外の地域では、特別な備えと日ごろの備えの再確認をしたうえで、ふだんの生活を続けます。自分の家が対象かどうかは、お住まいの市町村に確かめてください。

まとめ:臨時情報は「備えを確かめる合図」

  • 臨時情報は予知ではない。出ていなくても、南海トラフ地震は突然来る
  • キーワードは調査中・巨大地震警戒・巨大地震注意・調査終了の4つ
  • 「注意」「警戒」が出たら、日ごろの備えの再確認と、すぐに逃げられる態勢。そのうえでふだんの生活を続ける
  • 「警戒」のとき、事前避難対象地域の人は、市町村の指示で1週間事前に避難する
  • 揺れを感じたり、津波警報が出たりしたら、臨時情報を待たずにすぐ避難
  • 自分の地域が対象かは、市町村一覧と、お住まいの市町村で確かめる

臨時情報が出てから考えるのでは、遅いこともあります。 今日、推進地域の市町村一覧を開いて、自分の市町村の名前を探してください。 見つかったら、その夜のうちに家族で「注意が出たら、どうする?」を話し合ってください。

国からの最新の呼びかけは「防災庁の緊急要請」でも解説しています。


出典:

わが家に必要な量は?家族の人数を入れるだけで、水・食事・トイレの備蓄量がわかります

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