いま災害が起きている・起きそうなときは、気象庁の防災情報とお住まいの自治体の情報を確認してください
防災グッズ

停電にそなえる「明かり」の選び方|懐中電灯・ランタン・ヘッドライトの使い分けと置き場所

夜、地震で目がさめた。電気をつけようとしても、つかない。 手さぐりでスマートフォンを探すあいだにも、床には割れた食器が散らばっているかもしれません。

停電は、夜に起きると一気に危険が増えます。 だからこそ、明かりは「とりあえず懐中電灯が1本ある」では足りません。役割ごとに、置き場所まで決めておいてください。

この記事では、内閣府や東京都、消防の資料をもとに、

  1. 停電すると何に困るのか
  2. 懐中電灯・ランタン・ヘッドライトの使い分け
  3. 枕元・各部屋・持ち出し袋への置き方
  4. 電池の備え方と、ろうそくの注意点

を、順番にまとめました。

POINTポイント

明かりは「手元を照らす」「部屋全体を照らす」「両手をあける」の3つの役割で選びます。まずは、枕元に1つ置くことから始めてください。

この記事の目次
  1. 1. 停電すると、何に困る?
  2. 2. 明かりは「3つの役割」で選ぶ
  3. 3. 置き場所:枕元・各部屋・持ち出し袋
  4. 4. 電池と電源:止まらない明かりにする
  5. 5. ろうそくは、明かりの主役にしない
  6. 今日・今週・今月にできること
  7. よくある質問
  8. まとめ:今夜、枕元に明かりを1つ

1. 停電すると、何に困る?

内閣府(防災担当)が作ったチラシでは、地震で停電したときに困ることとして、次の2つを挙げています。

困ること 具体的には
安全に避難できない 夜は、出口がわからない、床の段差やガラスの破片が見えない
情報が手に入りにくい インターネットや携帯電話が使えないおそれがある

同じチラシでは、熊本地震で停電した家は、最大で約48万戸だったと紹介しています。大きな地震では、広い範囲で停電が起こりえます。

さらに、懐中電灯だけでは困る場面もあります。横浜市泉区の防災プログラムの資料では、懐中電灯は部屋全体を明るくするのがむずかしく、食事など日常生活の明かりには向かないとしています。

停電が何日か続けば、暗い中でごはんを食べ、トイレに行き、子どもを寝かしつけることになります。冬は、暗い時間も長くなります(→冬の停電の記事)。 「逃げるための明かり」と「暮らすための明かり」の両方が必要です。

2. 明かりは「3つの役割」で選ぶ

明かりの道具は、形によって得意なことがちがいます。

種類 得意なこと 向いている場面
懐中電灯 照らしたいところを、ねらって明るくする 移動、探しもの、夜中の避難
ランタン まわり全体を、ふんわり明るくする 食事、トイレ、家族が集まる部屋
ヘッドライト・ネックライト 頭や首につけて、両手があく 避難、片づけ、子どもを抱っこするとき

ランタンは「暮らすための明かり」

横浜市泉区の資料では、停電の対策としてLEDランタンをそなえておくことが有効だとしています。 東京都の防災ブック「東京くらし防災」でも、家にそなえておくと便利なものの一つにランタンが入っています。

ヘッドライトは「両手をあける明かり」

「東京くらし防災」では、夜間の暗い中での避難や作業に、両手をあけられるヘッドライトが重宝するとしています。 懐中電灯を片手に持ったままでは、手すりにつかまる、荷物を持つ、子どもの手を引く——こうしたことがむずかしくなります。

WITH KIDS子どもと一緒に

首相官邸のサイトで公開されている国の「備え」チェックリストでは、「こどものための備え」にネックライトが入っています。子どもにも自分の明かりを用意して、暗い部屋でスイッチを入れる練習を一緒にしてみてください(→子どもと防災の記事)。

夜中の地震には「自動でつく明かり」

内閣府のチラシでは、懐中電灯と足元灯をかねて、停電や地震のときに自動で点灯するタイプが有効だとしています。 足元灯をつけにくい階段などには、光をためて暗いところで光る「蓄光テープ」が効果的と紹介しています。

MEMOメモ

ランタンが足りないときの工夫として、横浜市泉区の資料では、LED懐中電灯の上に「水を入れたペットボトル」をのせる方法を紹介しています。試したところ、12畳ほどの部屋全体に光が広がったそうです。

3. 置き場所:枕元・各部屋・持ち出し袋

明かりは、暗くなってから探すのでは遅いものです。置き場所を先に決めておきましょう。

置き場所 置くもの 理由
枕元 懐中電灯またはヘッドライト 夜中に揺れたとき、すぐに手が届く
リビング・寝室 懐中電灯、自動でつく足元灯 内閣府のチラシが勧める置き場所
階段 蓄光テープ 足元灯がつけにくい場所に
窓辺 ソーラーライト 昼に充電して、夜の明かりに
家の中(備蓄) ランタン 停電が続いたときの暮らしの明かり
持ち出し袋 懐中電灯、ヘッドライト、予備の電池 避難のときに持って出る

枕元は「すぐ手が届く」が条件

首相官邸の「災害への備え」のページでは、手の届くところに、懐中電灯やスリッパ、ホイッスルをそなえておくよう呼びかけています。

「東京くらし防災」は、ヘッドライトを枕元の壁掛け収納に入れておくことも勧めています。 ただ置いておくだけでは、揺れでどこかへ飛んでいってしまうため、すべり止めシートの上に置く、固定した壁掛け収納に入れるなど、置き方を工夫するよう書かれています(→地震の記事)。

窓辺のソーラーライト

「東京くらし防災」では、ソーラーライトを窓辺にふだんから置いておけば、停電時の明かりになると紹介しています。昼のうちに太陽の光で充電できるので、電池がいりません。

持ち出し袋には、両手があくものを

国の「備え」チェックリストでは、非常用持ち出し袋の中身として懐中電灯(手動充電式が便利)と予備電池・携帯充電器を挙げています。 「東京くらし防災」の避難リュックの例には、ヘッドライトと乾電池が入っています(→持ち出し袋の記事)。

家族の人数分を

岐阜県関市や兵庫県姫路市は、懐中電灯をできれば1人に1つそなえるよう呼びかけています。関市は、なるべく寝室や枕元に置くよう勧めています。

家族がそれぞれの部屋で寝ているなら、それぞれの枕元に1つです。高齢の家族や子どもの分も、忘れずに用意してください。

CAUTIONここに注意

感震ブレーカー(強い揺れで電気を自動で止める装置)のうち、家じゅうの電気をすべて止めるタイプをつける場合は、夜の地震で暗闇になります。「東京くらし防災」では、停電のときに自動でつく照明や懐中電灯もあわせて準備することが重要だとしています。

4. 電池と電源:止まらない明かりにする

電源のタイプと特徴

タイプ 特徴 資料での扱い
乾電池式 予備の電池があれば、すぐに使える 室蘭市消防本部は、電池で使える照明器具を用意するよう勧めている
手回し(手動充電式) 電池がなくても、自分で回して充電できる 国のチェックリストでは、懐中電灯は「手動充電式が便利」
ソーラー式 昼に太陽の光で充電できる 東京都は、窓辺のソーラーライトを紹介
自動点灯式 停電や揺れを感じると、ひとりでにつく 内閣府は、夜の地震への備えとして有効としている

コンセントで充電するタイプは、停電中はコンセントから充電できません。ふだんから満タンにしておき、乾電池式や手回し式など、別のタイプと組み合わせてください。

予備の電池をそなえる

内閣府のチラシは、ラジオや予備の電池を常にそなえておくよう呼びかけています。京都市も、家庭の備蓄の例に**懐中電灯(予備電池を含む)**を挙げています。

家のライトやラジオを全部出して、使っている電池のサイズを確かめてください。サイズがばらばらだと、予備をそろえるのが大変です。これから買い足すライトは、家にある電池と同じサイズで使えるものを選ぶと、予備をまとめて持てます。

電池の液もれを防ぐ

国民生活センターは、電池の液もれや破裂を防ぐために、次のことを呼びかけています。

  • 電池の**+と-の向き**をよく確かめて入れる
  • ちがう銘柄の電池や、古い電池と新しい電池をまぜて使わない。交換するときは全部まとめて
  • 使い終わったら、必ずスイッチを切る
  • 非常用の懐中電灯のように電池を入れたままにする器具は、定期的に液もれがないか確かめる
  • 電池を、ヘアピンやネックレスなどの金属と一緒に持ち歩いたり、しまったりしない

製品評価技術基盤機構(NITE)も、電池を保管するときはほかの電池や金属製のものと触れさせないよう注意しています。ショートして発熱したり、破裂したりする危険があるためです。

CAUTIONここに注意

電池からもれた液に触れたら、すぐに大量の水で洗い流してください(国民生活センター)。小さな子どもが電池を触らないよう、置き場所にも気をつけましょう。

5. ろうそくは、明かりの主役にしない

国の「備え」チェックリストや、東京消防庁の「非常備蓄品」の例にも、ろうそくは入っています。 けれど、停電中の明かりは、電池などで光るライトを主役にしてください。

消防も「できるだけ使わないで」と呼びかけている

総務省消防庁の消防研究センターは、地震後の火災を防ぐための注意として、明かりをとる目的で、ろうそくなどの火をできるだけ使わないよう呼びかけています(2018年6月)。理由は次の3つです。

  • 地震で物が散らばり、ふだんはない場所に燃えやすいものがある
  • 避難や片づけの疲れで、注意が行き届かないことがある。余震のおそれもある
  • 万が一火がついたら、ふだんの火事より避難や消火がむずかしい

千葉県君津市も、停電時にろうそくを使うと火災の危険があるため、できるだけ懐中電灯やランタンを使うよう呼びかけています。

ろうそくの火事は、実際に起きている

東京都の発表では、2022年(令和4年)に東京消防庁の管内で起きたろうそくによる火災の死者は4人で、過去10年でもっとも多かったとしています。 都の調査に寄せられた事故の例には、停電のときにお風呂場でろうそくを使い、消し忘れて火事になったというものもありました。

東京都は、子どもや高齢者、ペットがいる家庭など、火を使うのが不安な場合は、電気ろうそくなどの代わりの品も検討するよう勧めています。

それでも使うときは

注意すること 出どころ
火をつけたまま、その場を離れない 柏市消防局
倒れないよう安定させ、近くに燃えやすいものを置かない 柏市消防局
子どもの手の届くところに置かない 柏市消防局
閉め切った場所で、一度にたくさん使わない 柏市消防局
閉め切った場所でたくさん使うと一酸化炭素中毒のおそれ。換気する 室蘭市消防本部
離れるときは、火を確実に消す 室蘭市消防本部

MEMOメモ

停電中は、電気製品のスイッチを切り、プラグをコンセントから抜いておきましょう。電気が戻ったときの火事(通電火災)を防ぐためです。消防庁は、避難で家を離れるときはブレーカーを落とすよう呼びかけています。

今日・今週・今月にできること

いつ やること
今日 家にある懐中電灯を全部出して、つくか確かめる/1つを枕元に置く
今週 ライトやラジオに使う電池のサイズを確かめ、予備を買う/電池の液もれを確かめる
今月 ランタンとヘッドライトを用意する/家族の人数分そろっているか数える/階段や寝室の足元の明かりを考える

よくある質問

Qスマートフォンのライトがあれば十分ではありませんか?

スマートフォンは、災害のときに連絡や情報を得るための大事な道具です。東京都の「東京くらし防災」でも、被災時の生命線とされています。明かりは別に用意して、スマートフォンの電池は連絡のために残しておきましょう。

Q懐中電灯に電池を入れたままにしてもいいですか?

国民生活センターは、非常用の懐中電灯のように電池を入れたままにしておく器具は、定期的に液もれがないか確かめるよう呼びかけています。防災の日や季節の変わり目など、確かめる日を決めておくと忘れません。

Qろうそくは、もう家に置かないほうがいいですか?

国のチェックリストにもろうそくは入っているので、持っておくこと自体はかまいません。ただし、消防研究センターは、明かりのためにろうそくなどの火をできるだけ使わないよう呼びかけています。明かりの主役は電池などで光るライトにして、ろうそくは最後の手段にしてください。

まとめ:今夜、枕元に明かりを1つ

  • 停電した夜は、逃げるための明かりと暮らすための明かりの両方が必要
  • 懐中電灯は手元、ランタンは部屋全体、ヘッドライトは両手があく。役割で選ぶ
  • 置き場所は枕元・リビングや寝室・持ち出し袋。懐中電灯はできれば1人に1つ
  • 電池はサイズを確かめて予備を。新旧・銘柄をまぜず、定期的に液もれを確かめる
  • 明かりのために、ろうそくの火はできるだけ使わない

停電は、ある夜とつぜん起こります。 今夜、寝る前に懐中電灯を1つ、枕元の手が届くところに置いてください。つくかどうかも、その場で確かめてください。

ほかの備えは「防災は何から始める?」で、順番にまとめています。そろったものは防災チェックリストで確認できます。


出典:

わが家に必要な量は?家族の人数を入れるだけで、水・食事・トイレの備蓄量がわかります

あわせて読みたい