11月5日は「津波防災の日」|津波から命を守るために、いま知っておきたいこと

海の近くに住んでいなくても、旅行や海水浴、仕事で海辺にいることはあります。 そのとき大きく揺れたら、どこへ、いつ逃げればいいか、すぐに答えられますか?
11月5日は「津波防災の日」です。国連が定めた「世界津波の日」でもあります。 津波は、見てから逃げても間に合いません。だからこそ、逃げ方は今のうちに決めておいてください。
この記事では、気象庁や国の資料をもとに、
- 11月5日が「津波防災の日」になったわけ
- 2026年の津波防災の日の取り組み
- 津波警報・注意報の種類と、とるべき行動
- 津波から命を守る行動
を、順番にまとめました。
POINTポイント
津波から身を守る鉄則は「すぐに避難」です。海の近くで強い揺れや、長くゆっくりした揺れを感じたら、警報を待たずに、できるだけ高い場所へ逃げてください。
この記事の目次
1. 11月5日が「津波防災の日」になったわけ
由来は「稲むらの火」
内閣府の防災情報のページでは、11月5日の由来を次のように紹介しています。
1854年(安政元年)の旧暦11月5日、「安政南海地震」による津波が、紀州藩の広村(いまの和歌山県広川町)を襲いました。 このとき、村の濱口梧陵(はまぐち ごりょう)は、収穫した稲の束(稲むら)に火をつけ、暗やみの中で逃げる人たちに高台への道を示して、村人を救いました。 この話が「稲むらの火」です。
濱口梧陵は津波のあと、村人に食べものや住まいを用意し、自分のお金で堤防を築いて、村の立て直しにも力を尽くしたとされています。
法律で決まり、世界の記念日にもなった
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1854年 | 安政南海地震。「稲むらの火」の話が生まれる |
| 2011年3月 | 東日本大震災。津波で多くの命が失われる |
| 2011年6月 | 「津波対策の推進に関する法律」ができ、11月5日が「津波防災の日」に |
| 2015年12月 | 国連総会で、11月5日を「世界津波の日」とすることが決まる |
(内閣府の防災情報のページ・平成28年版防災白書より)
防災白書によると、「世界津波の日」は、日本をはじめ142か国が共に提案し、国連総会で全会一致で決まりました。
2. 2026年の津波防災の日の取り組み
11月5日(木)10時ごろ、緊急地震速報の全国訓練
気象庁は、「津波防災の日」「世界津波の日」の取り組みの一つとして、11月5日(木)10時ごろに、緊急地震速報の全国的な訓練を行うと発表していました。
気象庁の発表では、全国のすべての都道府県(47)と1,740の市区町村、国の24の府省庁、738か所の民間企業・団体などが参加する予定でした。訓練の速報が流れる場所は、次のとおりとされていました。
| 流れるところ | 流れないところ |
|---|---|
| 参加する自治体の防災行政無線、一部の商業施設など | テレビ、ラジオ(一部のコミュニティFMなどを除く) |
| 登録している自治体やアプリによっては、スマートフォン(「訓練」と書かれた速報) | 携帯電話・スマートフォンの緊急速報メール |
気象庁は、訓練の速報を見聞きしたら、あわてずに、まず身の安全を確保する行動をとるよう呼びかけていました。 訓練の日が過ぎても、頭を守る練習はいつでもできます。家族で一度、一緒にやってみてください。揺れた瞬間の身の守り方は「地震にそなえる」で、場面ごとにまとめています。
全国8か所で、地震・津波防災訓練
内閣府(防災担当)が2026年9月に出した資料では、「津波防災の日」「世界津波の日」を中心に、自治体と一緒に地震・津波防災訓練を行うとしています。住民が参加する津波避難訓練や、地域の危険を学ぶワークショップなどです。
| 日にち | 場所 |
|---|---|
| 2026年10月18日 | 北海道豊浦町 |
| 11月3日 | 福島県浪江町 |
| 11月6日 | 愛知県西尾市 |
| 11月8日 | 三重県紀宝町、大分県佐伯市 |
| 11月9日 | 大阪府岬町 |
| 2027年1月30日 | 沖縄県沖縄市 |
| 1月31日 | 長崎県長崎市 |
なお、国の防災の仕事は、2026年11月2日に発足した防災庁が引き継いでいます。防災庁と、発足の日に出された国からの呼びかけは「防災庁が発足|国の『緊急要請』をわかりやすく解説」で解説しています。
3. 津波警報・注意報の種類と、とるべき行動
津波のおそれがあるとき、気象庁は「大津波警報」「津波警報」「津波注意報」を出します。
| 種類 | 出るとき(予想される高さ) | 発表される高さ | 起きること/とるべき行動 |
|---|---|---|---|
| 大津波警報(特別警報) | 高いところで3mを超える | 10m超・10m・5m・3m(すぐに規模がわからない巨大地震では「巨大」) | 木造の家が全壊・流される。海岸や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ |
| 津波警報 | 高いところで1mを超え、3m以下 | 3m(巨大地震では「高い」) | 低い土地では津波が襲い、浸水する。海岸や川沿いにいる人は、ただちに安全な場所へ |
| 津波注意報 | 高いところで0.2m以上、1m以下 | 1m | 海の中では速い流れに巻き込まれる。海の中の人はただちに海から上がり、海岸から離れる |
(気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」より)
「巨大」「高い」と出たら、最大級の危険
気象庁は、マグニチュード8を超えるような巨大地震では、地震の規模をすぐに正しくつかめないため、最初の発表で高さを「巨大」「高い」という言葉で伝えるとしています。 「巨大」と出たら、東日本大震災のような大きな津波が来るおそれがあります。ただちに、できる限りの避難をしてください。
到着予想の時刻より、早く来ることも
気象庁によると、発表される「第一波の到達予想時刻」は、その地域でいちばん早い時刻です。場所によっては、それより数十分〜1時間以上おくれて来ることもあります。 「まだ時間がある」「もう来ないだろう」と自分で決めないでください。
CAUTIONここに注意
震源が陸に近いと、津波警報・注意報が、津波の到着に間に合わないことがあります(気象庁)。強い揺れや、弱くても長い揺れを感じたら、警報を待たずに避難を始めてください。
4. 津波から命を守る行動
① 揺れたら、すぐ「より高い場所」へ
気象庁は、津波警報・注意報を見聞きしたとき、または海辺で強い揺れや長くゆっくりした揺れを感じたときは、海辺から離れ、より高い安全な場所へ避難するよう呼びかけています。
津波は、地形によって、その場所だけ予想より高くなることがあります。気象庁は「ここなら安心」と思わず、より高い場所を目指すよう求めています。
② 見てから逃げても、間に合わない
気象庁の資料では、津波は沖合いではジェット機に負けない速さで進み、浅い海で遅くなっても、人が走って逃げ切れる速さではないとしています。 陸に近づくと、うしろの波が前の波に追いつき、高さが増します。
③ 「潮が引いたら逃げる」は間違い
津波は、潮が引くところから始まるとは限りません。気象庁は「潮が引いたら逃げればよい」は大きな間違いだとしています。潮の様子を見に行かず、すぐに逃げてください。
④ 戻らない。解除されるまで避難を続ける
気象庁は、津波は長い時間、何度もくり返し襲ってくること、あとから来る津波のほうが高いこともあることを示し、警報が出ている間は絶対に戻ってはいけないとしています。 家に忘れものをしても、家族が心配でも、津波警報・注意報が解除されるまで、避難を続けてください。
⑤ 「津波てんでんこ」:一人ひとりが、自分で逃げる
何度も大津波に襲われてきた東北地方には、「津波てんでんこ」という言い伝えがあります。 内閣府の資料では、「津波が来たら、家族がバラバラでも、とにかく逃げろ」という、自分から進んで避難することをうながす教えだと説明しています。
家族をさがしに行かず、それぞれが逃げられるように、ふだんから家族で逃げる場所を決めておくことが大切です(内閣府)。 また内閣府は、だれか一人が避難を呼びかけたり、先に逃げたりすることが、周りの人の命を救うことにつながるとしています。迷っている人がいたら、声をかけて、先に逃げてください。
WITH KIDS子どもと一緒に
内閣府の「一日前プロジェクト」には、東日本大震災のとき小学4年生だった釜石市の男の子の話があります。避難場所でお父さんと会えず、心配で津波を見に行こうとしたところを、お母さんに止められました。家族はそれぞれ別々に逃げていて、3日後にお父さんと再会できたそうです。 子どもと一緒に「津波のときは、家族をさがしに行かずに高いところへ逃げる」「あとで〇〇で会おう」と約束しておきましょう。子どもの防災は「子どもと防災」でもまとめています。
5. 海の近くにいるとき(海水浴・釣り)
気象庁は、津波注意報が出ているところでも、海水浴や磯釣りは危険なので、ただちに海から上がって、海岸から離れるよう求めています。 高さ20〜30cmほどの津波でも、速い流れに巻き込まれるおそれがあります。「1mなら大したことはない」と考えないでください。
赤と白の「津波フラッグ」を見たら、すぐ避難
海水浴場などでは、津波警報・注意報が出たことを、赤と白の格子模様の旗「津波フラッグ」で知らせることがあります。 波の音や風でサイレンが聞こえにくい泳いでいる人や、耳の不自由な人にも伝えるためのものです。
気象庁は、海水浴場や海岸の近くで津波フラッグを見かけたら、速やかに避難を始めてください、と呼びかけています。
6. 家や職場の「津波の危険」を地図で確かめる
逃げる場所は、いざというときに考えても間に合いません。今のうちに地図で確かめてください。
国土交通省と国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」では、
- 「重ねるハザードマップ」:住所や現在地から、津波・洪水・土砂災害などの危険を地図に重ねて見られる
- 「わがまちハザードマップ」:お住まいの市町村が作ったハザードマップを見られる
ことができます。ハザードマップの見方は「ハザードマップの見方」でくわしく解説しています。
POINTポイント
内閣府の資料では、津波避難の三原則の一つ目に「想定にとらわれるな」を挙げ、ハザードマップは「あくまで予想」と考えるよう伝えています。地図で色がついていない場所でも、海の近くで強く揺れたら、より高い場所へ逃げてください。
今日・今週・今月にできること
| いつ | やること |
|---|---|
| 今日 | 家族で、揺れたときに頭を守る練習をする/家族で「津波てんでんこ」の話をする |
| 今週 | ハザードマップで、家・職場・学校の津波の危険を確かめる/近くの高い場所や避難場所を家族で決める |
| 今月 | 決めた避難場所まで、実際に歩いてみる/持ち出し袋を玄関に置く |
よくある質問
Q津波注意報なら、避難しなくてもいいですか?
気象庁は、津波注意報が出たら、海の中にいる人はただちに海から上がり、海岸から離れるよう求めています。高さ20〜30cmほどの津波でも、速い流れに巻き込まれるおそれがあるためです。
Q海の近くで揺れたのに、まだ津波警報が出ていません。待ったほうがいいですか?
待たないでください。気象庁は、震源が陸に近いと、警報が津波の到着に間に合わないことがあるとしています。強い揺れや、弱くても長い揺れを感じたら、すぐに高い場所へ避難を始めてください。
Q11月5日の訓練で、スマートフォンは鳴る予定でしたか?
気象庁の発表では、携帯電話・スマートフォンの緊急速報メールでは、訓練の速報は流さないとされていました。ただし、登録している自治体やアプリによっては、「訓練」と書かれた速報が流れる場合があるとされていました。
まとめ:「すぐに、より高い場所へ」を家族の合言葉に
- 11月5日は「津波防災の日」「世界津波の日」。由来は1854年の「稲むらの火」
- 海の近くで強く揺れたら、警報を待たずに、より高い場所へ
- 津波は見てから逃げても間に合わない。潮が引くのも待たない
- 津波はくり返し来る。解除されるまで戻らない
- 「津波てんでんこ」。家族をさがしに行かず、それぞれが逃げる。会う場所は先に決めておく
稲むらの火が教えてくれるのは、「早く、高いところへ」です。 今夜、家族で「津波が来たら、どこへ逃げて、どこで会うか」を一つ決めてください。
ほかの備えは「防災は何から始める?」と「防災チェックリスト」で、順番に確認できます。
出典:
- 気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」
- 気象庁「津波から身を守るために」
- 気象庁「津波フラッグ」
- 気象庁「津波発生と伝播のしくみ」
- 気象庁「緊急地震速報の訓練(令和8年11月5日)」
- 気象庁 報道発表「緊急地震速報の全国的な訓練について」(2026年10月29日)
- 内閣府(防災担当)「令和8年度 地震・津波防災訓練及び孤立集落防災訓練について」(PDF)
- 防災情報のページ「津波防災」
- 防災情報のページ「特集 津波防災の日」
- 平成28年版 防災白書「『世界津波の日』の制定に係る取組」
- 防災情報のページ「特集 新しい津波警報」
- 防災情報のページ「特集 津波防災の推進について」
- 防災情報のページ「一日前プロジェクト」釜石市の体験談
- 国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」
